500Rs紙幣でランチにバターチキンカレーを食べようとずっと楽しみにしていた同士に捧ぐ。お金がお金じゃなくなる日。
米大統領選挙が世界的な関心を集める一方で、大統領選の開票前、ハフポストUS版で最も読まれていた記事は、「殺された鹿がハンターに逆襲。ツノに突き刺される」だったそう。(http://www.huffingtonpost.jp/2016/11/08/man-kills-elk_n_12875026.html?ncid=fcbklnkjphpmg00000001)
全然関係ない記事だけど、映画 Into the Wild を思い出してしまったので、共有しちゃいました。
そんなことは置いといて、ここインドでも大きな出来事があったんです。
もうこのニュースは、日本語にも訳されているようなので、ご存知の方が多いと思いますが、そうあれです。犬も釘付け釘付けになるあれです。
(インドで見つけたレアキャラ)
イギリスにいた時は、イギリスのEU離脱だったりと何かとビックイベントに遭遇することが多い中村です笑
簡単に何が起きたかと言いますと、
インド時間の11月8日午後8時(現地時間)にモディ首相がテレビ演説を通して、
『現在流通している1000ルピー札(約1600円)と、500ルピー札(約800円)を4時間後の9日午前0時で廃止する』
と突如発表したんです。
モディ首相は、「ブラックマネーと汚職が貧困撲滅の最大の障壁だ」と述べ、
偽造紙幣や汚職、資金洗浄などの根絶の必要性を説いたようです。
(*ブラック・マネーとは、未申告・未課税の資金のこと)
「今から4時間後からね~」って。笑
なんともインドらしいと言ったらいいのか。あくまで個人的な感想ですが、インド時間って10分が平気で30分になることもあれば、逆にめちゃくちゃスピード感がある瞬間もあるんです。
例えば、社員の方にプロジェクトの現場見たいんですよ~って言ったら、了解。今から迎え行くわ。みたいなこともあるし。
今回みたいに、「えっ?いいの?」的な感じなことはそこそこある。
それが本当にインドの面白いところですよね。
まぁ、ただこのスピード感にはさすがのインド人も動揺する可能性があるとモディ首相もよんだのか、国民の混乱を避けるためにも、お金を失うわけではないことを強調したみたいです。
今回の動きについて、以下の項目に従って、簡単にまとめますね。
・背景
・目的
・インドの様子
・今後の動き
背景
①インド国内における汚職が深刻な問題である。
汚職に関して具体的なデータを見つけることはできなかったけど、政治家、公務員を始め、多くの職で賄賂が横行してるとの情報にはたくさんのサイトが 触れている。前にブログで書いた、賄賂による運転免許証の発行があるように、おそらく賄賂は色々なところの蔓延っているのかと。
②脱税大国インド!
インドにおける正直な納税者が全体のわずか2%らしい。
そんだけ少なきゃ正直になった人が損って感じですよねもう。
この脱税にも、大きく二つの方向性があるらしく、
一つ目は、国民の多くが日雇い労働のような脱税しやすい職についていること。
まぁ、そうだねと理解できますが、これってどれほどの程度の所得から課税の対象になるんだろうか?
インターンの一環で、キオスクを経営する人に何度かあって、マイクロクレジットのおかで収入が増えましたって光景を見ていたけれど、収入の増加によって課税の対象になるなんてこともあるのかな?
言われてみれば、所得税についてはこれまで気にしたことがなかったから、この点は新たな視点の獲得。
もう一つが、
去年かな、日本でも話題になった「パナマ文書」と関連していて5000人にも及ぶインドの富裕層が税金隠しを指摘さえたそう。これは、モディ首相が、脱税に対して切り込む理由がわかりますよね本当。現状はそう簡単ではないようですが、少しずつ法整備の方も進んでいるみたいです。
目的
①偽造紙幣や汚職、資金洗浄などの根絶
②脱税対策
③キャッシュレス社会への移行
なんども書きましたが、これが主なようです。
インドが抱える貧困者の数とか、学校に行けない子供の数って、世界レベルで見てかなり多くて。そういう社会問題に対して、使われる財源の確保が、この新たな動きによって生まれることを願います。
インドの様子
インドは、まだまだ現金社会。そして、流通している現金の45%が500Rs以上の紙幣によるとのデータもある。確かに病院に行った時、そんな持ってくるか?ってくらい分厚い札束を持ってきて払っている人いたな~。そもそも1000Rsが最大紙幣なことも要因ではあるけど。
そんなこんなで、昨日の夜は、人々がATMに殺到。
目的は、手持ちのお金の預金か、これから数日間に必要な現金を入手(500Rsと1000Rs以外)。
インターン先の社員の人たちも早速ATMに向かったみたいで、400Rsの引き出しを何回もやってきたわ~ははは。って。
しかも、お前も紙幣持ってるか?って気にかけてもくれて。もし100Rsがなかったら、貸してやるから言えよ~て。ちょうど100Rs紙幣がポケットに入っていたので、見せると、おぉ、なら安心だ。100Rsあれば、インドで生きていけるって。笑
まぁ、生きていけなくもないけど、さすがに無理無理。
(実際はもう少しあるので平気なのですが。)
いや~、この決定に対して、インド人も少なからず驚いているようですが、それでも激動のインドを笑って受け入れる国民性は本当好きですわ。(もちろん嘆いている人もいるかとは思いますが)
今後のインドについて
インド中央銀行は新たに2000ルピー札を10日以降に、新デザインの500ルピー札を数週間以内に発表する予定だそう。
また、11/10-12/30の期間中は、銀行にて対象紙幣を交換できる(空港、鉄道、病院は11日まで現在の紙幣受け入れる。)
モディ首相が強調しているように、この先50日間紙幣の交換期間があるから、手元にある程度100Rs紙幣がある場合は、そこまで焦ることもない。
早速、円ルピーのレートが動いたり、不動産の価格が下がると言われていたりと、当たり前で影響はあるようですが、何が起きるかはこれからアンテナを張っていくしかないかなと。
そんな僕は、せっかくソーシャルセクターの企業でインターンをしているから、貧困層についても考えてみたいのだけれど、そもそも、貧困層にとっては、100Rs紙幣を手に入れないといけないなんてことがあまり発生しないと思われるので(持っている紙幣のほとんどが100Rs以下)、その観点からするとATMに駆け込むなんてことはしなくていい。
でも、この動きが経済に様々な影響を与えてくるとなると、影響は少なからず及ぶなと。
貧困層と一括りにすると話が見えにくいから、例えばデリバリーとして雇われている人について考える。
(彼らがどの程度の収入を得ているのか、そして配達数で賃金が支払われているのか、勤務日数で賃金が払われているのかわからないので、あくまで仮説)
僕のように、500Rsや1000Rsが使えないために、デリバリーを諦める人が一定数いると、それによる消費が落ち込みが予想される。そうした場合、もし配達数で賃金が支払われているなら、デリバリーとして雇われている人々の収入も減ることになる。
他にも、もし小さいお金がないからと、リキシャに乗れないような人が多くいるのであれば、ドライバーの収入にも影響が出るだろうし。
思ったより影響は広範囲に及ぶのかもしれないし、インド人の多くが十分な100Rsをすでに手にしているもしくは、明日以降銀行で変えてもらうようであれば、そこまで影響が色濃く出ないのかもしれない。
でも、そもそもの疑問として、この動きを貧困層の人々はどこまで認知していいるかという話。
デリーだと大都市だから、リキシャのドライバーで路上で生活している人でも、小耳にはさむ機会があると思うけど、それこそ農村の人たちはどうなんだろう。非常に気になるところです。
なんていう僕の疑問はさておき、
実際この動きについてを認知しているのか、聞いて参りました。
結論から言いますと、
皆さんやっぱり知っているようです。
果物屋さんも、キオスクも、落花生売る兄ちゃんも、ストリートフードの店もみんな500ルピーを聞いた瞬間、笑ってナヒーンっていう。
んじゃ、オートリキシャのおっちゃんはどうやと思い、聞いてみると、英語でのコミュニケーションがうまくいかない笑。500ルピーと聞いたからそのおっちゃんは自分の財布の中にある、500ルピー紙幣を見せてくれた笑(結構入ってた笑)
そうじゃなくてさって頑張って説明していると
なんとおっちゃん、「俺の金はホワイトマネーやで!!」って。笑
なるほどなるほど。このおっちゃんもしや知ってるな。
でも、確信得るために「その500ルピーもう使えないんやで〜」ってひたすら説くと、
今度はそのおっちゃん、「病院ではまだ使えるんやで〜」って。
おぉ〜このおっちゃん確実に知っている。
負けじと「病院で使えるのも11日までやで〜」っていうと
そのおっちゃん、「明後日あたりに銀行行くんや〜」って。
はい。完全に知ってました。オートのおっちゃんも。
んで、最後に聞いたんですよ、
「バイヤー、それはどうやって知ったん?」
そしたら、携帯を指差して「これやこれ」って。
スマートフォンを持っていたので、ドライバーの中でも、比較的裕福な人なのかもしれないけど、意外と多くの人がこの動きを認知しているのかもしれません。
<参考>
https://www.theguardian.com/world/2016/nov/08/india-withdraws-500-1000-rupee-notes-fight-corruption
http://www.bbc.com/news/business-37906742
https://zuuonline.com/archives/126100
以上、中村でした。