インドのクラクションの向こう側
改めまして、中村です。
投稿初日をすっぽかす形になってしまいすみません。
フィールドワークに行った関係で、インターネットにアクセスできませんでした。
インドの田舎は本当に素敵で。どこか自分の故郷を感じさせるものでもあり。
インドの人々は本当に親切で。行く先々で水とか食べ物を出してくれる。
せっかく歓迎してもらってるんだもん。
口にしないなんて失礼なことはできないけど、あまりのラッシーの酸っぱさに思わず「あっちゃー!!」って。(ヒンディー語ではグットの意味だけど、確実に日本語の意味で使ったよね。)
田舎の良さはまたいつか書くことにして、今日はインドの交通事情について書こうかな。
インドに来て1カ月。
インドのクラクションの嵐にもだいぶ慣れたのだけど、この間、オフィスからの帰宅途中。
助手席に美人を乗せた若い兄ちゃんが、クラクションを「ビィーーーー」って鳴らした後に、「グォーーーーーン」ってものすごいスピードで小道を走って行って。よくある「プッー」とかいうかわいいやつじゃなくて「ビィーーーー」ね。「ヴュィーーーー」の方が正しいかも。
しかもさ、そのクラクションを鳴らしてるのは、正確には兄ちゃんではなくて助手席の女性。おいおいクラクションを鳴らしたくなるのは、小学校低学年までやろと思いつつ。俺はインドにいるんやと言い聞かせていたのですが。
今度は、道を歩くおばあちゃんに向かって、またまた「ヴュィーーーー」。もういっちょ「ヴュィーーーー」。そして「グォーーーーーン」。んで、「キィッ!!」。それもそのはず、交差点の間近におったんだもん。おばあちゃんは全く怯んでいる様子はなかったけど、
さすがにこれを見たら、
「いやいや、マジでシャレになんないわ。」って呟いてしまいましたね・・・。
インドの交通事情って、
逆走するリキシャがいても、車線という概念がなくても、
なんだかんだうまくまわっているなぁ~って思ってたけど、
さすがにあんな運転をする兄ちゃんがいたら事故あるやろと思って。
だから、今回はインドの交通事故について調べてみました。
結論を先にいう形をとると、(インド在住の方を恐怖に陥れることになってしまい申し訳ないのだけれども、)
なんとなんとなんと、インドの交通事故数、実は、世界一。
ネットでさらっと検索しただけで、
・インドの交通事故発生率は日本の50倍(東洋経済:http://toyokeizai.net/articles/-/5187 )
・1時間に平均17人が交通事故死しているとの政府統計を発表し、早急な道路安全対策の改善とインフラ整備、交通法規の厳格化を進めると約束した。(AFP:http://www.afpbb.com/articles/-/3090064
・世界の交通死亡事故の10件に1件、車両同士の衝突など交通事故の6件に1件がインドで起きていることが分かった。(インド新聞:http://indonews.jp/2012/10/1-154.html)
はい。
インドから無事に帰られた皆さん、おめでとうございます。
インドに残っている皆さん、おっ、おめでとうございます。世界一です。
いや、でも、ちょっと待ってよ。
そう簡単にインドに世界一の座をあげてもいいのか。
これってインドの人口が多いからだけじゃない?
って思ったんで、他のデータもちょっと見てみます。
死傷者だけだけど、これを見てみると2013年の段階ではまだ中国での事故数が世界一だし、10万あたりの死傷者数に直したらインドも中国も際立って多いわけではなくて、むしろアフリカ諸国の方が多ってことがわかって。
(WHO:http://apps.who.int/gho/data/node.main.A997)
いやいや、待てよ。
人口10万あたりにするのはいいけど、車の保有率も考えなければならないだろうし、ましてはデリーに住んでいる人間からしてみると、インドの他都市より人口が多いし、自動車保有率が高いわけで、その分交通事故も多く発生してるはずだよな、なんて考えてたらこのブログを書き終わらない気がするので、とりあえずインドは交通事故が多いんですという話をしたかったということを確認して、次に進もうかと。
まずはここまで読んでくれた方、ありがとうございます。
ここからが大事なんだけど、いかにしてインドが交通事故数世界一の国なったのかということですよね。
その原因は色々あるだろうけど、
今回は「インド人がどのようにして運転を学んでいるか。そしてどのように運転免許証を獲得しているか。」その謎に迫ることにします。
インド人がいかにして運転を学んでいるかをネットで調べてもいい記事が見つからなかったので、インド人に聞いてみたところ、人ぞれぞれらしい。
でも大抵の場合は、自動車学校に行って、習うだって。(目安は20日間くらい)
他の人は親が教えたり、自分で覚えたりするんだとか。
自分で覚えるって。この時点でちょっと危ない匂いがするけど。(自分で習えるのはゴーカートまでやろ。)
んで、もう一つ気になるのが、免許証はどう発行されるかですよね。
インドの運転免許証取得の仕組みをざっと調べてみると、そこまで特殊ではなさそう。
ここを参考にしました。(ネットで調べると色々な情報が出てくるので、そこは考慮に入れて欲しい。おそらく州ごとに違うのかと思う)
(http://www.archive.india.gov.in/howdo/howdoi.php?service=6)
まず本免許証を取得するには、Learner's Licence (変に日本語に訳すよりそのまま使う)をまず手に入れなければならない。
Local transport Office において必要書類の提出と料金の支払いをすませ、ペーパーテストを受ける。このテスト用のテキストは申請書に通常は付いてくる。(失敗してもまたテストを受けるチャンスが与えられる)
ひとまず、仮免許証を取得したら今度は本免許証だが、これは仮免許証取得後、30日以降180日以内に申し込まなければならない。この時点で、乗り物の仕組み、運転、交通ルールに関する理解が求められると同時に、実技試験が行われる。
日本ほど時間を要するもではないにしろ、一応何度かテストを受けることになってるらしい。
料金は取得したい免許証の種類にもよるけど(http://www.aptransport.org/html/fees-licence.html)、
なんだ、案外普通じゃんか。つまんないの。っと、本来喜ぶべき事実に少し落胆しているところ・・・。
ありました、ありました。さすがインド。やっぱりインド。待ってました。
インド インドゥ インドゥゥ!!(原形ー比較級ー最上級)
これです。『Getting driver's licence: A tout story』
(Hindustan Times : http://www.hindustantimes.com/delhi/getting-driver-s-licence-a-tout-story/story-mKfjRoeDParDQ5uXAMrNPI.html)
記事によれば、タウトと呼ばれる人が賄賂と引き換えに、免許証を渡しているようですね。しかも、長時間待つ必要もなければ、テストも免除される、もしくは隣で回答を教えてくれるなんて。相場が2000RSくらいなので、これは正規の料金のほぼ10倍くらいのようです。
こうしてみると問題の一つの根源はここにありそうですね。
でもでも、これが問題とは必ずしも言い切れず、話はどんどん突き詰めなければならなくて、
この方法で免許証を手にした人がどのくらいいるのか。
その中でも十分な運転技術や知識がない人がそのくらいいるのか。
事故を起こした際の処罰はどうなっているのか。
どうして賄賂が存在し得るのか。
などなど。
今回はここまでにするけど、問題を突き詰める姿勢は大切にしたいなと思ったところでした。
中村